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精密醗酵

Precision fermentation

 微生物を宿主とした精密発酵により、動物由来の油脂やタンパク質を動物を使わずに生産することができます。

<背景>
細胞農業における精密発酵とは、バクテリアや酵母などの微生物宿主を培養して、特定の生体分子を生産させることです。これには、卵や乳製品のタンパク質、コラーゲンやゼラチンなどのその他のタンパク質、脂肪酸などの非タンパク質が含まれます。また、精密発酵は、幹細胞を培養肉に成長させるために必要な成長因子を作る動物由来原料フリーのアプローチにもなり得ます。    微生物を使って動物製品を生産するバイオエンジニアリングは、何十年も前から存在している技術です。例えば、チーズを作るレンネットや糖尿病患者のためのインスリンはその一例です。しかし異なる種や製品に合わせてプロセスを最適化するためには、多くの作業が必要となります。

<重要な研究領域>
ターゲット分子 - 卵や乳製品などの伝統的な製品の特性(風味、口当たり、栄養、調理や冷凍の特徴など)を調べることで、発酵によってどのような分子を生成する必要があるかを決定します。
生合成経路 - 脂肪酸やその他のタンパク質以外の分子については、それらを自然に生成する生合成経路と酵素を完全に理解する必要があります。次に、微生物宿主をバイオエンジニアリングして、酵素を生産する必要があります。また、新たな標的分子を生成するために、新しい経路や酵素を設計することもできます。
微生物宿主の開発 - 各ターゲット製品に最適な微生物宿主を開発する必要があります。これは従来の育種やバイオエンジニアリングによって行うことができます。これには、各宿主に最適な培地や原料の決定も含まれます。
製品の精製 - 目的の分子を微生物宿主から効率的に分離する方法を見出すことは大変重要な課題です。これは、精製された分子をどのように処理し、他の成分と混合して最終製品を製造するかにまで及びます。