細胞農業の生産過程

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【細胞採取】

1.種細胞

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培養肉をつくるには、起点となる種細胞が必要です。
動物からこの種細胞を採取して培養することで、理論上は本来の生産方法と変わらない肉をつくることが可能になります。もちろん肉だけでなく、培養サーモンやエビなど魚の細胞水産業も試作品レベルで既に実現しています。また採取する組織を変えることで肝臓の細胞から培養フォアグラを作ることができます。現在は無限に増殖できる幹細胞が種細胞として注目されていますが、生育に関わるコスト等が課題になっています。

【育成】

2.培地

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細胞を生育する栄養満点の液体が「培地」です。
培地は栄養源となる基礎培地と増殖を促進する成長因子からできています。 研究室レベルでは、一般にこの成長因子として家畜の胎児から採取された血清を用いています。 しかし、大量に入手するにはコスト、動物倫理面で課題が大きいため、各研究機関や企業では動物血清に代わる成分の研究開発や培地のリサイクルなどが進んでいます。

【大量生産】

3.スケールアップ

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大規模な細胞培養を可能にするのが、バイオリアクター。
温度や酸素濃度を適切に制御したり、pHや代謝物をモニタリングすることで安定した生育を可能にしています。現在、世界中で効率の良い大規模培養設備が研究開発されており、今後の技術進展が期待されています。

【成形】

4.足場・立体化

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現在の培養肉は、多くはミンチ状です。ステーキ肉ををつくるためには「立体化」とお肉特有の「噛み応え」を実現する難易度の高い技術が必要です。秘訣は筋細胞がつくり出す筋線維と呼ばれる構造。この構造をつくるために、細胞の向きを揃え、生育を促進する素材が必要となります。これが「細胞足場」です。現在は、多様な素材開発や3Dプリント技術などの研究事例も続々と登場。おいしいステーキをつくるイノベーションが足場から起きています。